山の花筺 (1) 


 
タ マ ア ジ サ イ
 
(ユキノシタ科アジサイ属)
 
   

この花も言いようのないぐらい好きだ。

緑を帯びた灰白色の
ベルベットで覆ったような丸い蕾を

これもベルベットのような薄紫色の両性花の塊が、
割って顔をのぞかせた
その時の配色が
たまらなく好きなのである。

こんな素敵な配色を
演出してくれた自然界に、ただただ感謝…

この配色は、
荒い毛の生えた大きな葉に、
両性花の塊が少しづつほどけて、
雄しべと 雌しべがやわらかな花を作り上げるまで続く。

 
 
 
わずか2・5センチほどのかたい緑灰白色の堅い塊が、
12〜3センチもの、やわ らかな薄紫のアジサイに
姿を変えてゆくのが感動的である。

ふわふわとした両性花に、
ところどころ欠けたように疎らな装飾花を付けて、
堅いベルベットの
しゃっきとした感じの蕾とは趣の違う、
可憐な印象をあたえる。
 
 


涼しい所では、日なたでも
頑丈に見える位の大株になって、
普通の額アジサイと見間違うように咲いているが、
当地のように地温が上がる所では、
冷涼な沢とか、割に急な斜面で
冷たい水が浸み出るような所に生えていて、
ほとんどが日陰にある。  
 
 
たいていは大株になっていて、
一本に6枚から8枚ほど
大きな葉を付けた枝の先端に、
一つづつ蕾を付ける。
数十個の蕾が
一斉に斜面に垂れ下がり、
薄紫色がほころびかかると、
今、この時、このままを、
永遠に取っておきたいと思う。


2003.8 母書く

 



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